こんにちは。薬局です。
今月は、抗うつ薬、SSRI、SNRI、NaSSAについてご紹介します。
1999〜2000年にSSRIとSNRIが発売されるまでは、三環系を中心とした第一、第二世代が日本の主なうつ病治療薬でした。
三環系抗うつ薬から得られた抗うつ薬の作用仮説, すなわちシナプス間隙のモノアミン(ノルアドレナリン、セロトニン、ドパミン)濃度を高めることが抗うつ作用につながるとする仮説に沿って開発された抗うつ薬のうち、三環系抗うつ薬の副作用を大幅に改善し、主にセロトニンを増やす抗うつ薬は、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)と呼ばれる第三世代になります。薬剤としては、フルボキサミン、パロキセチン、セルトラリン等があり、急性期治療のみならず再燃・再発予防のための持続・維持療法にも用いられ、うつ病治療薬の第一選択薬として定着しつつあります。また、半減期が長い特徴があるため1日1回投与が可能です. セロトニンには脳内でノルアドレナリンの作用を調整する働きがあり、ノルアドレナリンに関与する神経の異常興奮などが原因とされるパニック障害や、強迫症、不安障害の各亜型の治療薬としても適応を拡大しています。
SSRIのセロトニン再取り込み阻害作用に加えて、ノルアドレナリンの再取り込みも阻害するセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)は、より広い治療スペクトラムとなった第四世代の抗うつ薬になります。薬剤は、ミルナシプラン、デュロキセチン等があります。また、ノルアドレナリンやセロトニンは脳内で痛みの抑制に深く関わる下行性疼痛抑制系を賦活(活性化)する働きにより鎮痛効果が期待できるため、神経障害性疼痛などの痛みの緩和に対して使われるものもあります。
副作用としては、SSRIは、三環系抗うつ薬でみられた口の渇き、便秘、立ちくらみ、排尿しづらさはほとんどみられませんが、消化器系副作用(悪心、嘔吐、下痢など)があり、薬の飲み始めに吐き気が出現しやすいことがあります。吐き気止めを服用することで緩和でき、長く服用していると吐き気はなくなります。眠気の他、性機能障害が生じやすい薬剤もあります。注意が必要なのは、長く服用した後に急にSSRIを中止しますと、頭痛、めまい感、不眠、全身倦怠感が出現する中断症候群がみられるので、ゆっくり減量していく必要があります。
SNRIもSSRIと同様の副作用が出現します。さらに、ノルアドレナリンを刺激するために、排尿しづらさ、脈が速くなる、高血圧などの副作用がみられます。
次世代としてアドレナリンα2自己受容体への遮断作用とセロトニン5-HT2及び5-HT3受容体阻害作用により、脳内のノルアドレナリンやセロトニンの働きを改善し、抗うつ作用をあらわす、ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)とも呼ばれるミルタザピンがあります。抗うつ効果の発現が早く、セロトニン受容体の賦活化が関連する副作用(性機能障害、胃腸症状)が少ないのですが、眠気や食欲が出すぎる、体重増加に留意が必要な薬剤です。
次回は、抗不安薬についてご紹介します。
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