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心理室 7月「心理士の視点について」

心理室を覗いてみよう(14) ~心理士の視点について~

 これまで『心理検査』の視点から、知能(検査)や認知機能(検査)について触れてきました。

そのような中で、「心理士としてどんな視点で物事を捉えているのか知りたい」というお言葉を

いただく機会がありました。そこで、急遽ではありますが、認知機能の説明はひとまず脇に置き、数回に分けて『心理士の視点』について触れさせていただきたいと思います。

「心理士は人の考えていることがわかるんでしょ?」「心の中を覗かれちゃう、怖いっ!」

これまでに何度となく掛けられた言葉の一例です。どうも心理士は占い師や呪い師のような魔術的能力を秘めているというイメージを持ち込まれやすいようです。しかし実際は、「そんな魔術的能力を本当に持ち合わせていればどんなに楽だろう…」っと思うくらい極めて非力な存在です。

マスメディアで“メンタリスト”という肩書で人の行動や心を読み、巧みに操作する方々がいらっしゃいます。心理学をベースにしているという点では共通していますが、“臨床心理士”という肩書の人間の殆どは“メンタリスト”とは異なり至って非力です。確かに“心理検査”や“理論”という接近手段を持ち得ていますが、これらはあくまで仮説であって決して万能ではありません。兎にも角にも対象となる人を理解しようすることに徹します。少しでも理解できるように時間を割いて話を聞きます。時に対象となる人を取り巻くあらゆる人からも話を聞きます。やはり心理士というものは基本的には非力なのです。

ここで「それなら“話を聞いてくれる親切な人”と変わらないじゃん?」という問いが生じます。

全く以ってその通り。世の中には心理士よりも優れた方(ある種のセラピスト)は数多いらっしゃるでしょう。では、何が専門職足らしめるのか。それは、その人を理解しようと『抱える続けること』『考え続けるということ』だと思います。あまりに単純な言葉が並ぶため、肩透かしを喰らったような感覚に陥るかもしれません。しかし、これが極めて難しい。想像以上に難しい。自分では『抱え続けている』『考え続けている』と思っていても、意外に不足していることが多い。

だからこそ、非力ながらにその作業を徹底して行おうとする、その人の理解に繋げようとするのが心理士であり、専門家足らしめる所以だと思います。そのような心理士の態度は、傍から見れば、(言われたことがあるのは私だけかもしれませんが…)「しつこい」「くどい」「細かい」「暗い」「頑固」「めんどくさい」といった様に映るかもしれません。時にそれが高じて「社会性がない」「協調性がない」と映ることもあるかもしれません。ただ、裏を返せば、それだけ『抱え続けながら』『考え続けながら』その人を理解しようとしているということになるのです。それが、心理士であり、専門家足らしめる所以だと思います。

以上、今回はこれまでとガラッと変わり『心理士の視点』について触れてきました。次回以降は、

より『心理士の視点』がご理解いただけるように、心理士特有の『抱え続けるということ』『考え続けるということ』について触れていければと思います。それでは、また次回お会いしましょう。